区民の皆様の声を元にした活動

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◎太陽熱の利用について

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頂いたご相談

ご相談を元に行ったこと

●取り上げた理由
昨年の9月、環境エネルギー特別委員会で、千住の東京ガスの見学コースを視察し、将来の住まいについて、太陽光をはじめとする自然エネルギーを有効に活用する技術を視察した。
様々な太陽光発電装置が実証実験されている様も印象的だったが、何より、暮らしという点で、太陽熱を上手に利用し省エネしている様子が大変印象に残っている。私もこのような理想的な家に住んでみたい、と思ったものである。

●太陽熱とは?
・太陽熱は太陽の熱エネルギーでお湯を作ったり、暖房に利用するというもので、古くからある技術。
・以前のオイルショックの頃に流行った製品は、水のタンクを屋根の上において温める製品で、耐震性や屋根の防水の点でのトラブルも起きたが、最近の製品の カタログを見ると、水を屋根に上げる太陽熱温水器だけでなく、太陽光パネルで集熱し、分離して設置した貯水タンクの水を温めるソーラーシステムと呼ばれる 製品も販売されている。目立たず、屋根に重いタンクを乗せる必要のない仕組みで、太陽光発電に比べればパネルの面積もずっと少なくて済む。
・何より、太陽光で発電した電気でお湯を作るとなると、一度、太陽のエネルギーを電気に変え、それを使い、お湯を温める、という2段階の変換をすることに なるが、太陽熱の場合には、太陽の熱でそのまま使うため、エネルギーの利用効率がずっといい、とのこと。太陽光発電のエネルギー効率が10数%であるのに 対し、太陽熱利用は40~60%と4倍程度の開きがある。

●東京都の補助制度について
・東京都は「熱には熱を」ということで、PRに力を入れている。
しかし補助事業の実績は少ない。
平成21年度~22年度の実績:太陽光発電が約19,000件、太陽熱が約360件。
平成23年度~24年度の実績:太陽熱は約70件
・東京都の太陽熱の補助制度は、デイベロッパーなど、建築事業者対象の補助制度であり、一般の方向けの補助制度になっていない。このことが太陽光発電に比べて太陽熱の普及が立ち遅れている理由の1つと考える。

●太陽熱の普及が遅れている要因として考えられること
・太陽熱利用は給湯利用がほとんどで、床暖房など一部の暖房利用もあるが、用途が限られていること。世田谷区を含め都心では一世帯あたりの人員が減少しており、お湯の需要が少なくなりがち。そのため、特に夏場は供給過剰になることが想定される。
・また国や都の支援施策という点では、太陽光発電は固定価格買取制度により売電できるが、太陽熱では買取制度はない。都の補助制度も、ディベロッパー等の建築事業者対象の補助制度であり、直接需要家を対象とする制度は実施されていない。
そのため、一般的には初期投資相当の回収までに戸建住宅の場合19年程度の期間が想定される。
・さらに、新築の集合住宅への導入に必要な施工技術の革新や、戸建住宅への普及に必要なデザイン性の改良が停滞した時期があり、今一つ遅れているイメージがある。
・熱やお湯の利用の多い大家族ご家庭では、太陽光発電よりもはるかに安価で導入でき、高効率であるという特性も充分伝わっておらず、認知度が低い。

◆ひうち質問1
このようにエネルギー効率が高く、技術革新も進んできた太陽熱の利用でだが、余り普及が進んでいないように思う。世田谷区でもソーラーさんさん事業もあって太陽光発電を設置したという話は聞こえてくるが、太陽熱給湯を始めたという話は聞かない。
急速に増えている太陽光発電に比べ、太陽熱利用が余り進んでいないように感じるのだが、太陽熱利用の普及の現状についてどのような認識を持っているのか、見解を伺う。

答弁:
・家庭におけるエネルギー需要の約半分を占めるのは、給湯や暖房といった低温熱の需要であり、こうした熱需要に対しては、太陽からの熱を熱のまま直接利用することが効率的。
しかし太陽熱利用はオイルショック時をピークとして長い低迷期にあり、普及は進んでいないのが現状。
・東京都においては、太陽熱利用の普及に力をいれていますが、補助事業の平成21年度から22年度の2ヵ年の実績では、太陽光発電が約19,000件に対 して、太陽熱は約360件と大きな差が生じている。また、23年度から24年度の2ヵ年については約70件であり、普及が進んでいない状況であると認識し ている。

◆ひうち質問2
太陽熱は、利用効率が太陽光発電に比べて4倍程度もよい。メーカーの技術革新も大分進み、課題のデザインも大分改善している、とのことである。
今後、省エネに向け、太陽熱が効率的に省エネができることを理解していただくため、区は東京都とも連携し、太陽熱給湯の現状を区民に伝えるべきと考える。そのために区民の啓発活動をはじめ、区も普及に向けて対策を講じるべきと思うが、見解を伺う。

答弁:
・太陽熱利用は、住宅都市においても、ポテンシャルの高い再生可能エネルギー利用と認識している。特に集合住宅や2世帯住宅など居住人員の多い建物では効率の良さを充分発揮できる。
・区では、「自然エネルギー活用促進地域フォーラム」にて、太陽熱の業界団体や東京都の太陽熱普及の担当者から現状や課題を伺ったので、これを効果的な普及啓発つなげてまいりたい。
・具体的には、東京都が実施する「熱は熱でキャンペーン」との連携協力により、区民の認知度が高まるような広報の工夫を図るとともに、事業者を対象とした 省エネルギー対策資金融資あっせんの対象に「太陽熱利用システム」を加え、利子補給を行うなど、購入設置を支援してまいる。
・また、都市整備領域では太陽熱を導入するリノベーションに対し補助を行う制度を新たに始める予定。



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