ひうち優子のブログ

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令和元年 第3回定例会 一般質問5〜新公会計制度の導入〜

カテゴリー:定例会, 活動報告, 質問・提案が実現の一助となったこと

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新公会計制度について

現状と課題

・このテーマは、2016年より、私が度々取り上げてきたテーマである。

 

・2018年度から、地方公共団体では、「発生主義」・「複式簿記」・「連結決算」を柱とする「新公会計制度」の実施が義務化され、世田谷区でも2018年度から実施しており、2019年3月に初の決算書が作成された。

 

・新公会計基準では、企業会計で言うところの、BS(貸借対照表)、PL(損益計算書)、SS(株主資本等変動計算書=純資産(資本)の部の変動要因を記載する)、CF(キャッシュフロー計算書)に相当するものが存在する。

 

・世田谷区では、「総務省方式」よりも、より企業会計に近い「東京都方式」を採用している。「東京都方式」では、企業会計と同様に毎日仕訳を起こす必要があり、より優れたものである。

 

課題解決に向けた質問・提案

・今年の3月に策定された「世田谷区新公会計制度活用計画」のP19には今年中に公開する予定である固定資産台帳のイメージ図が掲載されている。そのイメージ図の固定資産台帳には「減価償却額」という欄があるが、これは「減価償却累計額」(取得時から決算時に至るまでの減価償却費の累計額)の意味で用いられており、当会計年度(単年度)での「当期減価償却額」の欄が欠落しているように見える。このままでは、固定資産台帳としては、不備であると考える。

 

 

・「固定資産台帳」という以上は、「当会計年度の減価償却額」と「減価償却累計額」と「残存価額」を表示するべきだと考える。この件について、区の見解を伺う。

 

 

成果

・「世田谷区新公会計制度活用計画」は、新公会計制度を有効に活用し、行政経営改革の取り組みを推進し、財政の持続可能性を確保するため、本年3月に策定されたものである。

 

・この計画に記載している固定資産台帳のイメージは、区のホームページで公開する際に掲載するおもな項目を参考として示したものである。指摘のあった減価償却の各項目

は新公会計制度を活用する上で重要な項目と認識している。10月下旬の公表に向け、

各項目を掲載する予定で準備を進めている。

 

 

※実際に公開された固定資産台帳は下記を参照

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kusei/004/003/d00182575.html

 

※例えば「建物」は下記の通り。質問で指摘した「減価償却額」、「減価償却累計額」、「残存価額」は全て表示されている。

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kusei/004/003/d00182575_d/fil/buildings.pdf

 

ここで、次式が成立する。

 

(残存価額)=(取得価額)-(減価償却累計額)

 

・新公会計制度は、区の資産やコストなど財務情報を区民の方々に分かり易く示すことも主要な役割の1つであると考えており、今後も議会の御意見等も頂きながら、適切に公表してまいる。

 

 

〔補足〕

・2018年度からの実施のため、2018年4月1日時点での区の財政状態を表す「開始BS」の作成が必須となるが、「開始BS」を作成するには、多くの事前調査が必要となり、最大の難関であった。この件に関する進捗状況については、実施前から何度も質問してきた。「開始BS」については、2018年10月に個別BSが、11月に連結BSが公開された。

 

★しかし、「2018年4月1日時点での区の財政状態を表す『開始BS』」とは、その前年度末である「2018年3月31日時点での区の財政状態」を表す期末BSでもある。従って、同年10月の決算特別委員会の審査対象とするべきであった。大阪市等では導入に際し、審査対象としていた。この点は大変残念である。

 

・新公会計基準では連結決算書も作成しなければならない。12の外郭団体には「全部連結」(通常の連結)が、5つの一部事務組合等には「比例連結」が適用される。前者は企業会計と同様であるが、後者については企業会計では「持分法」という簡易な連結方法(投資先の会社の純資産の部の一部=包括利益の増減のみが反映される)を用いるが、新公会計基準では「比例連結」を用いるため、企業会計よりも厳しく透明度が高い基準である。

 

・連結対象となる外郭団体及び一部事務組合等は次の通り。

【外郭団体】(全部連結対象)

(1)(公益財団法人)せたがや文化財団

(2)(公益財団法人)世田谷区スポーツ振興財団

(3)(公益財団法人)世田谷区保健センター

(4)(一般財団法人)世田谷トラストまちづくり

(5)(公益財団法人)世田谷区産業振興公社

(6)(社会福祉法人)世田谷区社会福祉事業団

(7)(社会福祉法人)世田谷区社会福祉協議会

(8)(公益社団法人)世田谷区シルバー人材センター

(9)(株式会社)世田谷サービス公社

(10)(株式会社)世田谷川場ふるさと公社

(11)世田谷区土地開発公社

(12)多摩川緑地広場管理公社

 

【一部事務組合等】(比例連結対象)

(1)東京二十三区清掃一部事務組合

(2)特別区人事・厚生事務組合

(3)東京都後期高齢者医療広域連合

(4)臨海部広域斎場組合

(5)特別区競馬組合

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kusei/004/003/d00151362.html

→新聞報道等もあるように、一部事務組合のあり方については、様々な議論があり、「比例連結」を採用したことは大いに評価できる。

 

・公会計には「税引前純利益」という概念は無いので、CFは「間接法」ではなく「直接法」で作成しなければならない。直接法の連結CFをシステムに実装することは、非常に難易度が高い

ので、この件に関するシステムの準備状況については、実施前から何度も質問してきた。

 

・詳細は2018年12月27日のブログも参照。