ひうち優子のブログ
新公会計制度とは?
予算委員会の途中ですが、新公会計制度について、簡単に書かせていただきます。
●新公会計制度について
自治体の状況
新公会計制度が平成30年度から導入される。
全国の地方自治体は、総務省の要請により、「単式簿記」による現金主義会計に加えて、企業会計に近い「複式簿記・発生主義」による財務諸表を作成し、提出することが求められている。
区でも、30年度(2018年度)から制度の導入に向けて検討中。
新公会計制度とは?
・一言でいえば、行政の見える化が可能となり、これは行政にとって、画期的。
・具体的には、全国の地方自治体は、総務省の要請により、「単式簿記」による現金主義会計に加えて、企業会計に近い「複式簿記・発生主義」による財務諸表を作成し、提出することが求められている。
・今更、と思うが、行政の会計制度は、本当に遅れている。
・今までは、現金出納帳ベースのキャッシュ・イン、キャッシュ・アウトを基本にしたフローの把握しかしてこなかった。
・新公会計制度導入により、建物等の「資産」や借入金・公債等の「負債」、そして正味財産である「純資産」も把握できるようになり、「減価償却費」などの現金支出を伴わないコストを正確に把握することが可能となる。
・この新公会計制度により、ようやく行政も企業並みの会計に、近づいたと言える。
昨年の予算委員会の質問から抜粋
課題解決に向けた質問・提案
世田谷区の特徴としては、総務省が定めた「統一基準」方式ではなく、「東京都方式」を採用している。
「東京都方式」は税収を「純資産の増加」ではなく、企業会計の「損益計算書」に相当する「行政コスト計算書」に計上し、仕訳は毎日計上するなど、より企業会計に近く、明晰性の高い優れたものになっている。
現在、導入に向けた検討や準備を進められている。以下3点を伺う。
質問・提案1
複式簿記導入のスタートにあたっては、まずは30年度(2018年度)年度末時点での「貸借対照表」を作成する必要があるが、実務上は財産目録の整備をはじめ、かなり労力が必要となる作業となる。
例えば、建物の経過年数や減価償却累計額、退職給付債務など、かなり複雑な計算がある。
区では、これまでも財務諸表を作成しており、ノウハウの蓄積もあるが進捗状況について、伺う。
成果
・制度開始時に貸借対照表をきちんと作成し、スタート時の資産や負債を把握することは、制度導入にあたっての重要な作業のひとつである。
・この開始時の貸借対照表は、最新データとする必要がある。このため決算数値については、平成29年度末における数値とし、出納整理期間の終了した平成30年6月以降に作成作業に着手する。
・さらに、建物の資産額や減価償却累計額もデータをセットする必要がある。これについては、固定資産台帳を段階的に整備しているので、その台帳を更新していき、その結果の最新の数値を計上することになる。
・区ではこれまでも「世田谷区の財政状況」という冊子において、企業会計手法による財務諸表を作成し、公表してきた。
この財務諸表では、例えば退職給与引当金を算出し、計上するなど、取組みも進めてきたので、そうしたノウハウも生かして、開始時の貸借対照表を作成してまいる。
質問・提案2
・行政活動の透明性の確保、及び、区民に対する説明責任の観点から、外郭団体の活動は特に注視する必要がある。
・「世田谷区の新たな公会計制度」の冊子の8ページには「外郭団体を含めた連結財務諸表を作成する」とあるが、その連結対象範囲の基準はどうなっているのか?
特に、世田谷区が部分的に出資している団体の場合はどうなるのか。
・また、「世田谷区の新たな公会計制度」の冊子の7ページには、「世田谷区の会計基準」を定めるとある。
特に「出資割合は過半数に満たないが、一定割合の出資をしている団体」の場合について、企業会計では「関連会社」として「持分法適用会社」となる。このような団体の扱いはどのようになるか?
・そして、財務諸表の分析については、連結財務諸表を用いて行政活動全体を見渡して行う必要もあり、その手法は民間企業でも様々研究が進んできている。
連結財務諸表の対象範囲と併せて、現在の取組み状況を伺う。
成果
・連結財務諸表は、区とその関連団体を連結してひとつの行政サービス実施主体としてとらえ、資産や負債、正味資産の状況や行政サービスに要したコストを総合的に明らかにするもので、行政経営マネジメントに資するものである。
・連結対象範囲だが、資本金・基本金の50%以上を出資・出えんしている団体及び本区が継続的に財政支出を行っている計12の外郭団体と、加入している一部事務組合や広域連合の5団体を連結の対象とする。
・この対象は、これまで「世田谷区の財政状況」で作成してきた対象範囲と同じである。また、連結の基準については、会計基準で定めるのではなく、別途定めることとしている。
・企業会計でいう「持分法適用会社」という考え方については、新公会計での方法と少々違っている。連結の方法として、いわゆる外郭団体との「全部連結」、もしくは一部事務組合などとの連結は、経費負担割合等に応じた「比例連結」の手法をとることに現在はなっている。
・連結財務諸表を作成することで、たとえば区の事業と外郭団体の事業を組み合わせてコスト分析を行うなどの活用の幅が広がることが期待されている。財務分析の精緻化、多面化を進めるうえで、必要な観点ですので、今後、その分析手法も研究してまいる。
質問・提案3
・今回の取組みでもうひとつ重要なことは職員の研修や人材育成である。
・例えば、日本公認会計士協会の「IT委員会実務指針第6号『ITを利用した情報システムに関する重要な虚偽表示リスクの識別と評価及び評価したリスクに対応する監査人の手続きについて』に関するQ&A」では、特に、「消費税」、「減価償却」、「連結会計全般」、退職給付引当金などの「退職給付債務」の4点について特に注意喚起が行われている。
・何れもこれまで自治体の会計にはなかった論点であり、担当職員の方のスキル向上とともに、区役所全体としての会計知識のボトム・アップが必要であると考える。
・会計知識に関する教育・啓発及び有資格者の確保、資格取得の奨励の計画などについて、伺う。
成果
・平成30年度からの新公会計制度は、これまでの自治体会計にはなかった企業会計の考え方を導入することとなるため、全職員が基礎的な会計事務として、その知識習得が図れるように体系的な研修の実施が必要と考えている。
・またお話のように、会計知識の有識者の確保、資格取得の奨励については重要な観点と認識している。
・今年度、各部予算決算担当職員を対象に、企業会計手法の複式仕訳、財務諸表の作成について研修を実施し複式簿記・発生主義会計の知識習得を図った。今後も、実務担当職員が適正な会計処理や資産の管理が行えるよう、区の研修年間スケジュールに新公会計研修を組込んで計画的に実施してまいる。
・また、財務諸表を分析し、業務改善、組織マネジメントの活用が出来る職員の育成を図る必要がある。その研修なども制度の導入に併せて計画的に実施し、経営感覚やコスト意識の醸成をめざした人材育成を行ってまいる。
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